教師と子どもが協同して作る!学級環境を本質的に変える2つの方法。

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いじめや不登校などの問題を今、日本中の小学校で「なくしていこう!」という取り組みがなされています。

文部科学省の調査によれば、平成23年度にいじめを認知した小学校の数は6,911校。小学校児童のいじめ認知件数は33,124人に上っています。小中学校を合算して計算すると、認知した小中学校数は12,622校。63,873人という悲しい結果となっています。

※参考(平成23年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について−文部科学省

いじめや不登校、学級崩壊といった問題に大きく関連しているのが、学級の雰囲気や学級内での人間関係です。クラスの雰囲気がいじめを容認しやすいものになってしまっていると、いじめが起こりやすく、不登校や学級崩壊といったことが生まれやすくなってしまいます。

いじめが起こりやすいクラスの雰囲気

1.いつもガヤガヤと騒がしく、落ち着きのない雰囲気

教室内が、授業中であってもいつもガヤガヤと騒々しく、教師が注意しても整然としない雰囲気の中では、子どもたち全体の落ち着きが欠けてしまい、授業の進行が妨げられ学習に支障があるだけでなく、おとなしく目立たない子どもたちにとっては居心地の非常に悪い環境となってしまいます。

また、注意することが日常化すると、学習のスムーズなリズムは失われ、特定の子どもを叱ったり怒ったりすることで貴重な授業時間がどんどん削られていきます。最悪の場合は、教室から飛び出してしまう子どもを追いかけるため、残された子どもたちを自習にしてしまということもあります。教師の目がない、いわば『無法地帯』を生んでしまう状況を作り出してしまうことになるので、いじめの温床になりかねません。

2.学級の中で、子どもたちに序列(カースト)が存在する雰囲気

クラスの中に、弱肉強食の序列(カースト)が存在し、それをなんとなく教師も容認している雰囲気であると、いじめや不登校の子どもを作りやすくなってしまいます。

子どもとの人間関係に悩む先生方は多くいます。特に、教室の中でも強い存在、子どもたちから恐れられているような存在の子どもに対して、教師である大人がこういった子どもの顔色をうかがい、クラスの中で波風を立たせないために子どもに迎合するような対応を取ってしまうと、クラスの中のカーストは確定的となってしまい、いじめを教師ぐるみで黙認する雰囲気を作り出してしまいます。

 学級環境を本質的に変える2つの方法

1.友だちのものを『壊さない』

『友だちのものを壊さない、持ち物や衣服、学習用具などを含めたすべてのものはもちろん、友だちのからだ、友だちの心も決して壊してはいけない』ということを、クラスの中で徹底して指導する事が大切です。

友だちの靴が隠されてしまったり、えんぴつが取られてしまったり、教科書に落書きをされてしまったり。

友だちを押してしまったり、叩いたり蹴ったりしてしまったり。

友だちに、傷つけるようなことを言ったり、気にしている特徴を揶揄したりからかったり。

『「友だちのからだや心も含めた『友だちのもの』を壊さない」というルールを徹底して守るのだ』と、教師が子どもたちの前で堂々と宣言し、教師が誰よりも先頭に立ってルールを守る大切さを協調していく姿勢を見せることがとても大切です。

子どもたちは、教師の対応や反応を注意深く観察し、時にはアドバルーンを揚げて教師を試したりします。

クラスには、「ばか」や「しね」といったひどい言葉を口癖のように発してしまう子どもが在籍することも少なくありません。そういった言葉が日常的に飛び交っているクラスの中にいる教師は、ともすると

「またあの子か…」

「また言っているな…」

など、教師自身も日常化した暴言に麻痺してしまい、見逃してしまいがちです。こういった雰囲気の中で、ひどい言葉を発している子どもはもちろん、まわりで傍観している子どもたちも

「この先生は、『ばか』や『しね』といったひどい言葉を言っても、叱らないんだ。」

と認識します。すると、こういった言葉はクラス中に蔓延し、ガヤガヤと落ち着きがなく、居心地の悪い雰囲気が決定的となってしまいます。

ひどい言葉に対して、教師が毅然とした態度で

「その言葉は許せないな。」

と指導することは、言うまでもなく非常に大切です。ここで大切なのは、『ひどい言葉を発するたび、その都度その都度根気づよく指導する』ことです。暴言が日常化してしまうと、教師も子どもを呼び止めるのをあきらめ、叱るのをあきらめ、指導するのをあきらめてしまいがちです。ひどい言葉を言う度指導する。見逃すことを決してしないことがとても大切です。

言われる子どもは、

「うるさいなぁ。」

「しつこいなぁ。」

「またかよ。」

などと言っては、教師に対して反抗的な態度を取ることもあると思います。しかし、あきらめてはいけません。子どもがやめるまで、根比べのつもりで教師はひどい言葉を言わなくなる最後の一瞬まで子どもに声かけをしていかなければなりません。

子どもは「しつこい」「うざい」と口では言っても、自分のした『悪い事』を叱り自分をよくしようとする教師、自分にプラスの関わりを持とうとする教師を嫌いません。もちろん、叱られたその一瞬、教師に対して「このやろう」などと憎しみにも似た感情を抱きます。しかし、根気づよく自分と接する教師を、子どもは評価しています。口と本音は必ずしも同じではないことが多いのです。

そして、まわりで傍観していた子どもたちも、根気づよく子どもと接する教師の姿を見ています。教師が子どもを評価するのと同様に、子どもたちも教師のことを常に観察し、評価しています。

2.人のはなしは、最後まで聞く

教室の中で、『誰かの発言は最後まできちんと聞いてもらえる』ということが保障されていますか。

「話をちゃんと聞きなさい」

「こっちを向いて聞きなさい」

などと注意することはあっても、「話を最後まで聞いてもらえる」ということがルールとして子どもたちに明確に宣言されていないと、いたちごっこをくり返すばかりです。

第1ステップは、「授業中は教師の話を黙って聞く」ことを徹底させることです。

教師の説明を黙って聞くことができない子どもがいます。すると、まわりの子どもたちも同調し、すこしずつ教室がざわざわし始めます。教師が話しているのにも関わらず、です。

教師の話の最中の私語を決して許してはいけません。おしゃべりの声が聞こえたら、すぐに授業を中断し、指導すべきです。特に、『黄金の3日間』と言われる学級開きの時期には、特に丁寧に指導する事が大切です。教師が子どもの私語を許せば、

「この先生は、授業中におしゃべりをしても叱らないし、注意もしないんだな。」

と認識します。

だからといって、だらだらと話しているのを黙って聞くことほどの苦痛はありません。これは大人でも同様のこと。子どもなら尚更です。

話をする教師側も、子どもが集中して聞くことができるような話し方の工夫を意識することが大切です。

  • 一時一事を意識して話す。(1指示を1分半を上限とすること)
  • 話の区切りに、子どもの活動(挙手させる、返事をさせる、など)を入れる。
  • 実物や視覚的なしかけを提示して、興味をもてる話を心がける。
  • 抑揚をもって、表情豊かに話をする。

第2ステップは、「授業中の子ども同士の話を黙って聞く」ことを定着させることです。

授業中の子どもたちの発言は、明確なルールが視覚的に提示されていて、すべての子どもたちが実行可能なものになっていますか。

発表する時には、どのようにするのか。

手の挙げ方は?返事をして挙げるのか?返事の回数は?起立するのか?いすはどうするのか?姿勢は?声の大きさは?

当たり前と思っていることも、ルールとして提示しないと理解が難しい子どもたちがいます。これらの『当たり前』を『見える化』して、クラスの全員が実行可能なものとして提示する事が大切です。

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発表する時の声の大きさを示した掲示物。

低学年向けにはもちろん、中・高学年であっても必要に応じて掲示しておくことが必要だと思います。

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『聞き方名人あいうえお』『お話し名人かきくけこ』

聞く時のルール、発表する時のルールを明示し、分かるところに掲示をしておくとよいでしょう。

こういったルールを徹底していくと、「自分の話した事は、かならず友だちが聞いてくれる」「私のことをみんなが注目し、受け入れてくれる」といった安心感がクラスの中に生まれてきます。

『授業での友だちの話の聞き方』を徹底していくと、クラスの雰囲気が安定し、あたたかい関係が作りやすくなります。

そして、第3ステップとして、「学校生活を含むすべての生活の中で、人の話を最後までよく聞く」ことを指導します。

教師の話を黙って聞くことが定着し、授業中は友だちの意見・発表を黙って聞くことができるようになると、「人のはなしを最後まで聞く」という習慣が少しずつ子どもたちの中で身に付いてきます。「話を最後まで聞くことのよさ」に気づいてくるのです。

話を最後まで聞くことの最大の功利は「人間関係を円滑にする」ことに尽きます。相手の言い分を最後まで聞き、自分の伝えたい事は、自分の気が済むまで最後までじっくりと聞いてもらうことができる。その安心感の中で、友だちとの人間関係を築き、教師との人間関係を築き、社会の中での人間関係作りの基礎を養うことができるのだと思います。お互いを認め合い、違いを受け入れて友だち通しのふれあいを感じる事ができる学級。そんな中で子ども同士、そして子どもと教師の協同が生まれ、学級環境が本質的に変わっていくのではないでしょうか。

<参考文献>

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