「午前中5校時日課」でしか教師の長時間労働を打開できない理由

働き方改革

教師の労働環境がブラックだという現状が広く認知され、教員採用倍率の低下に歯止めがかからないということについては以前もお伝えしました。

 

教員採用試験倍率 小学校1・2倍 19年度新潟県 全国で最低 
 県教育委員会が2019年度の採用に向け実施した教員採用試験で、小学校教諭の競争倍率が1・2倍に落ち込み過去最低だったことが8日、分かった。全国の都道府県教委への新潟日報社の取材によると、北海道(札幌 ...

 

さらに、その教員を養成する教育系大学を志望する高校生の受験倍率も低下。教師の冷遇がいよいよ高校生にまで影響を及ぼしている形になっています。

 

また、下記の記事によれば、全国の教員養成大学の志望倍率は最高で4.4倍

また、一部の大学では1.6倍など、1倍台に突入しており、教職という職業に対する魅力が大きく低迷していることが伺えます。

教育学部の入試倍率 秋田大が4・4倍で最高
 民間企業の採用枠が広がっていることなどを背景に教員養成系の競争率が低下した今春の国公立大入試だが、個別に見ると、競争率が上昇した大学・学部もある。  文科省のまとめによると、国立大学全体の志願倍率は

 

適正な勤務時間を現場主導で創る

下記のページでも指摘した通り、現状、勤務時間内で業務を行うだけの十分な時間が教員には確保されていません。

一番の原因は、児童(生徒)の滞在時間にあります。

教師の残業にNO!午前中5校時まで行う日課のススメ
学校で働く教員の勤務時間が過労死レベルであるという実情がここのところ広く認知され始めました。 また、教職公務員(つまり学校の先生)は、その特殊な業務内容から、他の公務員とは別に「教職調整額」と呼ばれる手当てを受...

 

つまり、勤務時間のほとんどが児童(生徒)の学校滞在時間となっているため、教師はその対応に追われ自身の事務作業に充てる時間が確保できない状況が慢性的に発生しているのです。

 

そこで、児童(生徒)の学校滞在時間を『営業時間方式』に照らし合わせ、14時台を目指して設定します。

こうすることで、教員が放課後に業務をする時間を確保し、定時の中で仕事を終えられるようにできれば、働き方がずっとクリーンになります。

 

『営業時間方式』実現には一律5校時に

では、児童の下校時間を14時台にするためには、どうすればよいのでしょうか。

 

基本的には、6校時までの授業日課を改め、高学年を含む全ての学年を一律5校時までに設定します。

45分×6校時に給食や休み時間等を勘案して日課を作ると、下校がどうしても15時台になってしまうからです。

 

しかし、高学年も5校時までの日課を設定するとなると、文科省が定める標準時数に満たなくなってしまうのではないか、という疑問がおこります。

 

実は、数字的にはこの一律5校時の日課は実現可能です。

つまり、まとめると下記のようになります。

<6年生の場合>
標準的な授業日数 200日

(1日5校時)×(200日)=1000時間

 

現行の標準時数は980時間ですので、2019年度まではこの日課でも十分に実現可能です。(※余剰時数や学校行事、特別活動に注意が必要)

 

しかし、新学習指導要領での標準時数は1015時間。

15時間不足してしまいます。

 

この部分については、特別6校時を最低15日分確保することで補います。

これも、考え方を変えると負担感なく割り振ることができます。

 

例えば、修学旅行校外学習運動会授業参観日などを6校時扱いにすることで、通常日は基本5校時という部分は崩さずに時数だけ確保することができます。

 

 

 

多くの小学校では、午前中に4校時まで、残りの5、6校時を午後に行う日課を採用していることが一般的です。

しかしこの日課の最大の問題点は、保護者面談や家庭訪問、出張・研修日など、午後に予定が組まれると短縮日課にせざるを得なくなってしまうことです。

 

つまり、通常6校時日課を設定している小学校では、上記の理由等で午前中までの短縮日課(4校時)を組むと2時間の時数減になるわけです。

 

学校事情により多少の差はあるものの、一般的な小学校ではこうした短縮午前中授業日が年間30〜40日あります。(学期の始めや終わりに短縮日課にすることが多いのも理由の一つ)

 

単純計算で、中間値の35日を短縮日程(4校時)とすると、通常6校時との差の2時間×35日なので70時間を確保する必要が出てきます。

 

しかし、午前中に5校時まで行う日課であれば、例外を除きほぼ全ての授業日で短縮日課にすることなく授業時数を確保することができます。

 

つまり、これまでロスしていた授業時数を効率的に均整化することで日課がならされ、「営業時間方式」の実現が可能になるのです。

さらに、余剰時数や学校行事についても見直しを行うことで、国の定める標準時数を大きく上回ることのないカリキュラムを計画することも必要です。

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おわりに

このように、教育現場レベルで行う働き方改革を行うにあたって、6校時までの日課を極力避け、午前中5校時の日課を取り入れることが一つの打開策として現実的なように思われます。

 

実際に午前中に5校時までの日課を採用している小学校もここ数年増加しているということも聞きます。

 

何れにしても、2020年の新学習指導要領の全面実施まで残りわずかです。

待ったなしの学校における働き方改革を、現場から初めて行くことが必要ではないかと思います。

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