教師の残業にNO!午前中5校時まで行う日課のススメ

教育情報

学校で働く教員の勤務時間が過労死レベルであるという実情がここのところ広く認知され始めました。

 

中学校教員の8割が月100時間超の残業 働き方改革「上限規制」の対象外(内田良) - Yahoo!ニュース
これまで「週の勤務時間数」として示されてきた教員の勤務実態を「月の残業時間数」に変換し、「過労死ライン」の観点から評価した。中学校教員の8割が、月100時間の過労死ラインを超えて残業をしている。

 

また、教職公務員(つまり学校の先生)は、その特殊な業務内容から、他の公務員とは別に「教職調整額」と呼ばれる手当てを受け取る代わりに、残業代が発生しないという給与形態であるということも以前の記事でお伝えしました。

 

労働基準法はかえって教師を追いつめる!教師の働き方改革
地方公務員である学校の教員の労働時間が1日あたりどのくらいであるか、みなさんはご存知ですか。 学校現場で働く教員の1日の労働時間は、地方公務員法により7時間45分というきまりがあります。 しかし、実際の現場では、多くの教員がこの...

 

特に、中学校の教員は、部活動指導に忙殺され、本来の業務である教科指導の準備さえできないという状況にあります。

 

SNS上でも、この現状に疑問や提言を発信している教員も多く、現状を改善しようとする動きが見られるものの、なかなか行政が本腰を入れて動いてくれていないというのが実際のところです。

 


そもそも事務仕事をする時間がない!

小学校であれ、中学校であれ、教師に任される仕事が時代とともに増え、本来の勤務時間である7時間45分の内にすべての業務を行うことは実際かなり難しい状況です。

 

中学校教員の部活動指導 ブラック脱却の手がかりとは
教師の働き方の改革が叫ばれています。 特に、中学校の教員の忙しさは、世界一とも言われます。 日本の教員の平均勤務時間は週53.9時間となり、参加国・地域中最も長く、平均(38.3時間)の1.4倍だった。 『日本の教員、勤務...

 

この記事では、そもそも児童・生徒が学校に滞在する時間が長すぎるという問題について触れています。

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小学校であっても、多くの学校で児童が15時過ぎまで学校に滞在する日課となっているため、教師の残務処理に残された時間は多くて1時間半。

もちろん、会議や保護者対応、行事の準備等で、個人的に行わなければならない業務に充てられる時間がほとんど残されず、深夜まで残業を余儀なくされる場合も少なくありません。

 


 

部活を無くす論、人材を増やす論、給与を上げる論

実際にこういった状況にあって、勤務環境改の改善のために出されがちなのが

  • 部活動指導をなくそう(外部委託しよう)
  • 人材を増やして、一人当たりの仕事量を分散させよう
  • 残業代を適正に支払われるようにしよう

といった案です。

 

どの案もごもっともだし、実現するに越したことはありません。

しかし、今すぐに実現できるでしょうか。

 

もちろん、地道な活動や、継続して声を上げていくことは必要です。

しかし、現状、すでに多くの教師が過労死寸前のギリギリで働き、心身を病み、休職を余儀なくさせられているのです。

潜在的に「うつ」症状に悩みながらも、苦しみながら毎日勤務校へと向かう教師もいます。服薬しながらなんとか食らいついている教師、希望に胸を膨らませていたのにあまりのストレスに潰されかけている若手教員も大勢います。

 

待てないのです。急を要するのです。

 


 

業務をまるっと勤務時間内に収めるために

それでは、どのような改善策が実際のところ可能なのでしょう。

 

行政に頼らず、学校規模で実現可能な方法として、児童・生徒の学校滞在時間を減らす、という案が、今の所もっとも効果的なように思われます。

 

銀行や郵便局の窓口が、午後3時で閉まるように、教師もある一定の時間をもって窓口を閉めるという考え方です。

 

具体的には、日課を大幅に見直します。

 

これは、静岡県浜松市のとある小学校の一日の日課表です。

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児童の登校時間は8時です。

朝学習が始まるのが8時ですから、きっと児童はもっと早く登校してくるかもしれません。

子どもたちを教室で出迎えるためには、きっと7時30分ごろまでには遅くとも出勤しなければならないでしょう。

 

そして、6時間目が終了するのが15時30分。

その後、きっと下校の準備や帰りの会などを行うでしょう。

15時45分ぐらいに最終下校といったイメージでしょうか。

7時45分から15時45分が、児童の最大滞在時間とすると、この時点で8時間学校にいるということになります。

 

思い出してください。

労働基準法に定められた勤務時間は、7時間45分です。

どう考えても、子どもたちの学校に滞在する時間が長すぎます

 

午前中に5時間目まで行う日課に

まず、6時間授業を改め、全日5時間授業の日課を想定します。

「6時間目までないと、授業時数が足りないのでは?」

と疑われる方もいるかもしれません。

 

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上の表は、現行の標準授業時数です。

最高学年の6年生は、年間を通して980時間の時数を確保せよ、ということがわかります。

 

年によって多少ばらつきがありますが、年間の授業日数は200日前後です。

もちろん、自治体によっては夏休み等の日数が違うので、これより多い学校もあることと思います。

 

この日数に、1日の授業、5時間をかけると、1000時間確保できるという計算になります。

余剰時数等を勘案しても、6年生で年間20時間の余剰があれば十分ではないでしょうか。

(学級閉鎖や学校閉鎖等の場合に備え)

 

では、なぜ6校時まで行う学校が多いのでしょうか。

これは、簡単なことです。

 

行事や保護者面談、他校への研究会等への出張日などのため、午前中までの短縮日課にしなければならない日が複数日あるからです。

本来6校時まで授業を行うところを、4校時までで下校させる日が10日あったとすると、これだけで20時間のマイナスです。

しかし、考えてください。すべての曜日を午前中に5校時にする日課にしてしまうのです。

そうすれば、短縮日課にすることなく、例外を除けばすべての日にしっかり5時間の授業時数を確保することができます。


 

 

すでに、上記のような午前中に5校時まで授業を行う日課を導入している学校があります。

 

一箕小学校 - あいづっこWeb
会津若松市立一箕(いっき)小学校のホームページです。こどもたちの学校生活の様子や学校の行事予定を紹介していきますので、ぜひご覧ください。

会津若松市立一箕小学校

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日課表から分かる通り、5校時の終了時刻が12時35分。

そこから給食の時間があり、昼休み、掃除を済ませて下校は15時です。

 

午後の日程は、さらに短縮することができそうです。

うまくやりくりをすれば、14時ごろには児童を下校させることが可能ではないでしょうか。

 

また、東京都にも午前中5校時を実施している学校があります。

武蔵村山市立第二小学校
武蔵村山市 公式ホームページ

武蔵村山市立第二小学校

 

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この学校では、5校時が12時35分まで、その後給食、清掃まで行ってから昼休みをとります。

火曜日には14時下校とある通り、教師にとってはかなり余裕のある日課になっています。

 


 

さらに、実験的な日課表です。

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この日課表は、休み時間も全くなく、掃除も給食もかなりタイトなものとなっているため、非現実的に思えるかもしれません。

 

しかし、現在学校で「教えなければならないこと」として当たり前に行われていることをもう一度見直し、不要なものは引き算の発想で排除していけば、ここまで子どもたちの学校滞在時間は短くできるということです。

 

学校行事を精選し、委員会活動や児童会活動など、子ども達の休み時間がなければ指導が追いつかないような過度な取り組みを一掃することで、この実験的な日課表に近い実践は可能ではないかと考えています。

 

スクールサポーターや支援員の勤務時間を据え置けば、これらの人材で児童が下校した後に一斉に清掃を行うことも可能でしょう。

休み時間がどうしても必要であれば、その部分だけを加算して日課を組めば良いのです。

少なくとも14時前には下校できるような日課を作ることは現実的に不可能ではないように思えます。

 


 

学校の取り組みとして可能

このように、行政任せでなく、学校独自の取り組みとして教師の過労問題を解決することができるのではないでしょうか。

 

今あるしくみを「当たり前」と捉えず、その当たり前をもう一度疑うことから始めることが改革の第一歩だと思います。

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