プレバト俳句の夏井いつき先生に学ぶ「褒め」のテクニック

毎週木曜日よる7時から放映中の「プレバト」。

「プレバト」のコーナーの中でも、もっとも人気があるのが「俳句の才能査定ランキング」です。

芸能人の作った俳句の指導と添削を行うのが、夏井いつき先生。

京都女子大学文学部国文科を卒業後の1980年に、国語科教諭として松山市立余土中学校へ赴任。1982年に愛南町立御荘中学校へ転任した。

教師時代から、仕事と家庭と両立させながら、唯一の趣味として独学で俳句を嗜んでいた。1988年には、教職を辞したうえで、 俳人に転身。

2013年(平成25年)からは、『プレバト!!』(毎日放送制作・TBS系列全国ネットのバラエティ番組)内の企画「才能査定ランキング」で、俳句部門の査定を担当。事前に提示した1枚の写真を基に、著名人のゲストが作成した俳句を、容赦のない毒舌で評価・添削する姿が人気を博している。

Wikipediaより引用

辛口と評判の夏井先生ですが、彼女が添削・指導する際に使う言葉が、芸能人の心をガッツリと掴み、俳句の魅惑の世界へと誘っています。

中には、夏井先生のお褒めの言葉に涙する芸能人がいるほど。

もともとは俳句に興味がなかったFUJIWARAのフジモンこと藤本敏史や、ノンスタイル石田、フルーツポンチ村上など、隠れた才能を引き出し、意欲を掻き立て、能力を開花させる夏井先生の言葉かけのテクニックは、他のプレバトコーナーの添削人とは一線を画しています。

夏井いつきの褒めのテクニック

夏井先生は、どちらかというと厳しい辛口批評で定評のある方です。

しかし、厳しさの中に時折見せる最上級の褒め言葉が、時には製作の苦労をねぎらい、時には成長を認め、時にはよさを賛美し、芸能人の心を捉えています。

そこには、わかりやすい添削や、納得の解説、適切な評価、信頼のおけるダメ出しなど、夏井先生の俳句に対する深い知識と優れた指導力(おそらく教員時代に培ったものと想像できる)が根底にあるということはいうまでもありません。

褒めのテクニックを夏井先生の添削から学び、教育現場で生かすことができれば、子どもたちの意欲を高め、やる気を引き出すことができるのではないでしょうか。

最上級の褒め言葉事例

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これは巧い

上手にできた時、しっかり課題をクリアーしている時、単刀直入に短い言葉で褒め切るところが本当にすばらしいですね。

しかも、どこが「巧い」のか、しっかり具体的に指摘してから、「巧い」とたたみかける。

単純に、言われた側は素直にうれしいですよ、これは。

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驚きました

これも、よく夏井先生がおっしゃる褒め言葉の一つ。

こんな風に伸びるとは、驚きました。

ここまで理解しているとは、驚きました。

あなたのがんばりに、驚きました。

ともすると、「すごいね」「えらいね」と、「あなた(YOU)」が主語で褒めがちですが、やはり褒め言葉の基本は「わたし(I)」を主語にすることです。

私は驚きました」

これも、言われる側は、「がんばってよかった」と素直に喜べる褒め文句ですね。

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これは褒めないといけない

この褒め文句も、夏井先生特有で、よくおっしゃられますね。

これは褒めましょう。

ひとまず褒めておきます。

褒めるべき点が一つ。

など、バリエーションもけっこうあり、応用が利きます。

褒め言葉を、じっさいに「褒める」ということばを声に出して褒めるというのは、なかなか意識しないとできないものです。

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くやしいけど素晴らしい

これは、本当に最上級の褒め文句ですね。

ちなみに、梅沢富美男さんに向けて発せられた言葉です。

「くやしいけど」の中には、尊敬すべき先生をもくやしがらせるほど、素晴らしいというニュアンスが含まれています。

本当によく頑張っている時、

相手の努力を心からねぎらう時、

そんな時にかけてあげたい褒め言葉です。

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できるようになってきた

地道な努力が実を結び始めた時、かけてあげたい言葉ですね。

どうしても、大人はできた結果を褒めがちですが、結果に至るまでの努力や過程をこそ褒めてあげる方が、相手の心に響きやすいと思います。

できるようになってきたね(ここまでの頑張りの成果だね)

といった具合です。

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よく工夫してらっしゃる

学習者が、特に気合を入れて取り組んだ部分や、意図をもって作り上げた部分、特に念入りに頑張った部分など、一番認めて欲しいところを取り上げてねぎらう。

これは、言われた側はもちろん、その周りで聞いている学習者にも良い波及効果が生まれます。

「あぁ、こういう風に工夫をするとよいのか」

「こういう風に頑張れば、先生は認めてくれるのか」

というメッセージにもなります。

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私が言ったことを吸収してる

この褒め言葉は、同時に複数の行いについて承認してあげる効果があるのではないかと思います。

まずは、今現れている成果について「よくできました」という意味。

そして、「これまでの教えをよく聞いていてすばらしい」という意味。

さらに、「教えたことをしっかり身につけていて素晴らしい」という意味。

これは、言われる側としたら、

「これからも先生の教えをしっかり吸収しよう!」

「さらに話をよく聞こう!」

と思いますよね。

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あなたの学んできたことは体の中に積み重なってます

これも、先ほど同様ですね。

学習者は、自分の伸び具合や定着具合を意外と客観的に捉えづらかったりします。

「あなたの頑張りはしっかり身についてますよ」

「あなたの努力は、しっかり定着してますよ」

「レベルが着々と上がっていますよ」

と、メタ認知を促す褒め言葉と言えます。

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よく鍛錬している

これも非常に巧い褒め言葉ですね。

つまり、教師が目の前にいる(学校であれば授業中)時に頑張るのは、ある意味では当たり前です。

教師がいない間、家に帰ってからも自発的に頑張るからこそ、力は伸びるわけです。

そのことをしっかり認めてあげる声かけがこれです。

「普段から、よく勉強してるね」

「家でもしっかり練習をしているね」

といったメッセージが含まれているので、たとえ、あまり家で鍛錬していなかったとしても、

「まずい、毎日しっかり練習しないといけないな」

という気持ちにさせられます。

「毎日勉強しなさいよ」

「家に帰ったら、しっかり練習しなさい」

などと言うより、よっぽど効果的な言葉ですね。

改善を促す褒め言葉

いつも褒めてばかりでもいられません。

時には、できない部分を指摘し、改善点を意識させていくことも必要です。

そんな時に、相手の自尊心を傷つけず、

「直していこう!」

「こうすればよかったのか!」

と、素直な気持ちで改善させる褒め言葉を紹介します。

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発想は面白い

失敗したり、できなかったりしたとしても、どこか一つくらいは頑張っていることがあるはずです。

そんなときに、

「◯◯◯面白い」

と、「」という助詞をつかってできているところを指摘してあげるところは、さすが夏井先生だな、といった印象です。

ともすると、

「どうしてできないの!」

「これができないなんて、だめだろう!」

などと叱ってしまいがちです。

「ここまでできているところ褒めないといけないね」

「これに気づけたところ素晴らしい」

といった具合です。

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もったいないところが1つ

直させたいところ、改善させたいところに注目させるには、どうしたらよいのでしょう。

夏井先生がよく使うキーワードが、

「もったいない」

です。

「もったいないところがあります、それは・・・」

といった具合に、改善点を指摘します。

そうすると、言われた側は、

「ここさえできていたら「才能あり」だったのか」

と、素直に自分の課題を認め、反省することができます。

「計算の方法しっかり理解していてすばらしいよ。

けれど、もったいないところが1つ。

計算した後に、必ず見直しをすること、これが大切です」

といった具合です。

そして、忘れてはならないのは、その教えがしっかりできている時を指導者がきっちりキャッチして、

「これは褒めないといけないね、

しっかり私が教えたことを吸収してます!

よく鍛錬していますね。」

というように、課題を指摘したら、それが改善されていることを認め、褒める。

このループに学習者を取り込んでいくことが意欲向上につながるのです。

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これができるようになれば特待生かけ上がれますよ

課題を伝えたら、できるようになったらどうなるか、学習者がイメージしやすい理想の姿を伝えてあげることが大切です。

「これができたら、特待生になれる」

「ここを意識すると、名人に昇格できる」

といった具合です。

これは、学校現場でも応用できます。

「これができるようになれば、次はとび箱7段もとべるようになります」

「これができるようになれば、テスト100点も見えてきます」

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この3つなら、どれがあなたのイメージに一番近いですか

あなたの話を聞くと、わたしもこれがあなたのイメージではないかな

これは、すこし解説をします。

ともすると、指導者は学習者に

「答えはこれです」

と、伝えてしまいがちです。

そうではなく、学習者の意図に寄り添って、答えになりそうな選択肢を伝えるのです。

「これと、これと、これ、あなたの考えに一番近いのはどれですか?」

と言う具合に。

そうすると、学習者は、選択肢が与えられると、思考せざるを得ない状況に無意識に立たされることになります。

これが大切です。

答えを1択で伝えてしまうと、学習者に思考の機会はありません。

選択肢を与えることで、思考するチャンスと時間を確保します。

その後、学習者が

「これが一番わたしの考えに近いです」

と答えたとします。

そこで、夏井先生の巧妙なテクニックが発揮されます。

「わたしも、あなたの考えを聞くと、それが一番いいのではないかと思います。」

というように、学習者が選んだ選択肢に同意します。

「尊敬する先生と同じ答えだった」

と思えることで、自尊心を高め、次からは自分の答えに自信を持って取り組むことができるようになるでしょう。

つまり、学習者に与える選択肢は、どれを選んでもはずれにならないものを提示するひつようがある、ということです。

これが大切です。

褒めのループが成功してきたら・・・

ここまで紹介してきたテクニックをうまく使って、褒めのループに学習者を巻き込みます。

学習者のやる気や意欲が高まり、力がついてきたとおもったら、夏井先生の鉄板褒め文句の出番です。

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直すところはどこにも無い!

これが出てくると、もう指導者の手の内です。

直しがないという最上級の褒め言葉を一度もらうと、学習者はもう一度この言葉欲しさに邁進しだします。

これまでの学習を振り返り、教えを思い起こし、自ずから学習をし始めます。

さいごに

いかがだったでしょうか。

自分自身への備忘録としても、夏井先生の褒めテクニックをまとめておくことは大変有意義なことであったと思います。

学校の先生方や、部下を指導する立場の方、お子さんをお持ちの保護者の方々、様々な方に参考にしていただければ幸いです。

また、次回のプレバトの放送から、夏井先生の添削に対して、すこしでも違った側面から見ていただければと思います。

夏井いつき先生の著書

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