学校を民営化「日本初等教育株式会社」-『クラスはよみがえる』を読んで②

アドラー心理学

前回の記事からしばらく開いてしまいました。

“学校から出る不良品率は驚くべき高さ”!?『クラスはよみがえる』を読んで①
この夏休み、大変印象深く、そしてぜひ実践したいと思える良書に巡り会いました。 みなさんは、『アドラー心理学』という言葉を耳にしたことがありますか? 実は、わたしもこの本を読むまでは、その言葉くらいしか知りませんでした。 ...

政治と教育にまつわるニュースが、毎日テレビや新聞の紙面を飛び交っています。

学校の本来の仕事は何か。

学校は何のために存在するのか。

そんなことを考えながら、すでに何度となく読んだこの本を、再び書棚から取り出しました。

この際、学校も民営化

JRや郵政(郵便局)が民営化するとき、世間は大いに議論し、数多くのバッシングや反論があり、最悪論で事を予測し「あってはならぬ」と批判されました。

学校を民営化する、とでもなれば、さらに大論争になりそうです。

しかし、学校現場の超過勤務や、教師の不祥事など、耳が痛い話題が多い昨今、学校の民営化という突拍子のない発案に賛成される方も少なくないのかもしれません。

今の学校は、どうも、国家・社会の需要も、親の需要も、子供の需要も満たしていないように思えてなりません。需要を無視したサービスばかり提供していたのでは、民間企業ならたちまち倒産です。(中略)

学校もJRみたいに民営化して、「日本初等教育株式会社」にでもなれば、この国の教育サービスもすこしはよくなるかもしれないねなどと、半分冗談で半分本気で言っています。

(創元社『クラスはよみがえる』p.16より引用)

前回の記事でも取り上げましたが、子供が学校に入学し、教育というサービスを受けて卒業するという過程の中で、不適応問題行動といった副産物を生み出してしまう現在の教育課程には、何らかの問題があるのではないかと考えるのが普通です。

学校という工場の製品である子供たちの不良品率は驚くべき高さ

民間の工場があんなに不良品を出したとしたら、工場長は即刻クビ

原材料が悪い、すなわち、家庭育児が悪い、という意見もありますが、どうもそれだけではない(中略)

入学児と卒業時の不良品率を比較すると、卒業時の方が圧倒的に不良品が増えているのだから、どうも工場の工程の方に大問題がありそう


教育のプロははたしてどっちか

学校の教員は、教育のプロであるはずです。

でも、例えば、経験年数もある中堅の教員でさえ、「ごんぎつね」の主題が読み取れない、「大造じいさんとガン」のあらすじすら知らない、という方もいます。

一方、教科書会社(民営)では、今日も新学習指導要領の検定に向け、教材文の選定や研究を進めていることでしょう。

もちろん、専門家を入れてのことだと思いますが、採択されるため、会社の利益のため、必死に良い教科書を作ろうとしています。

以下は、代表的な教科書会社

光村図書出版
光村図書出版のウェブサイト。小学校・中学校・高等学校の教科書,デジタル教科書の情報や,授業・教材研究に役立つコンテンツ,連載コラムを掲載しています。
東京書籍
1909(明治42)年創業。「教育と文化を通じて人づくり」を企業理念とし,新しい時代に挑戦する個性的,創造的な人材の育成を目指す。小・中・高等学校の教科書発行部数で業界首位。学習教材・指導用教材,学習参考書を発行。デジタル教科書など教育用デジタルコンテンツの開発・販売,教育総合ポータルサイト運営などのインターネットサー...
大日本図書|教科書・デジタル教科書・指導書・問題集および児童書・一般書の発行
大日本図書の公式サイトです。小学校,中学校,高専・大学の教科書・デジタル教科書・指導書・問題集および児童書・一般書などをご紹介します。

学習指導要領を熟読し、それに合わせた教科書を作成するため日々工夫を重ねている訳です。

本来、教師があるべき姿が、そこにはあるのではないでしょうか。

公教育の限界

さらに、外国人材の受け入れなどが進められ、日本語が全く話せない多国籍な子どもたちが次々に公立小中学校に入ってきています。

公教育とは、

教育を受けるための経費を保護者が直接に支払わないで,公共の財源から支払うこと。近代国家が国民の教育を国家の制度として組織する過程で成立し,義務制,非宗派制などとともに近代公教育における基本的原則の一つとなっている。

『ブリタニカ国際大百科事典小項目事典』より

しかし、税金を主として無償教育を進めるのには、もはや限界があるように思われます。

例えば、大手通信教育会社を例に考えてみます。

会員に毎月一定額の月謝を払ってもらうことで、良質なテキストはもちろん、会社で企画開発したタブレット端末を提供します。

会員に教育的効果が実感されなければ、契約を継続してもらうことは出来ません。

常に良質なコンテンツを提供し、組織的に、そして無駄なく、最適な料金設定で経営を行います。

保護者は、コンテンツに対価を支払う価値を見いだせば、それへの支出を厭わないでしょう。

低所得層の保護者が、子どもにスマートフォンや携帯ゲーム端末を持たせているのと同様です。

日本の公教育には、こういった「経営的」な考えが圧倒的に欠如しています。そのため、無制限な超過勤務が常態化し、無駄を精選しよりよいサービスを提供するといった「分析・強化」の意識が根本的に存在しないのです。

おわりに

ここまで、かなり極端な例を見てきました。

しかし、ある面では本質を突いた、看過できない問題に迫る提言なのではないでしょうか。

一方、この本は、「アドラー心理学」の入門書としても非常に分かりやすく、教育に携わる多くの人に一度読んでいただきたい良書です。

「おこらない」「ほめない」教育がなぜ必要なのか。

子どもと対等になることを恐れない教育が、なぜ重要なのか。

下記のページで、その一部を紹介しています。

“学校から出る不良品率は驚くべき高さ”!?『クラスはよみがえる』を読んで①
この夏休み、大変印象深く、そしてぜひ実践したいと思える良書に巡り会いました。 みなさんは、『アドラー心理学』という言葉を耳にしたことがありますか? 実は、わたしもこの本を読むまでは、その言葉くらいしか知りませんでした。 ...
子どもと対等になることを恐れない!「クラスはよみがえる」を読んで②
昨年度、転任した学校で任された3年生のクラス。その中に、「支援を要する」子が一人いました。4月は比較的おりこうさんで、2年生で担任をしていた先生から「全然大丈夫そうだね!成長したのかもね」といった話を受けていたのもつかの間。...

だまされたと思って、ぜひ手に取ってご一読ください。きっと、ご自身の教育観に新たな側面を提案する一冊になること、請け合いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました