“学校から出る不良品率は驚くべき高さ”!?『クラスはよみがえる』を読んで①

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この夏休み、大変印象深く、そしてぜひ実践したいと思える良書に巡り会いました。

みなさんは、『アドラー心理学』という言葉を耳にしたことがありますか?

実は、わたしもこの本を読むまでは、その言葉くらいしか知りませんでした。

ここでは、この本について紹介するだとか、おすすめするだとか、そういった目的ではなく、自分自身の備忘録として、そして一読したばかりでまだ十分理解できていない部分の復習として記録しておくものです。


民主主義と競争主義

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日本は、『民主主義』の国です。

これは、多くの人が当たり前だと思っていることだと思います。

日本に限ってみると、いろいろ意見はあるかと思いますが、明治から民主主義が始まったと考えても高々150年。

ポツダム宣言からだと考えれば、70年。

長い人間の歴史から見ると、現在はまだまだ民主主義への過渡期、課題だらけの赤ちゃん状態だということに改めて気づかされます。

そんな中、教育基本法にもうたわれている民主主義。

そして、何気なく「よし」とされてスルーされている『競争主義』。

この『クラスはよみがえる』の中でも一貫して挙げられている日本の教育の課題こそが、この『競争主義』です。

筆者は、著書の中で、

競争原理は、教育の中では、実に諸悪の根元。

その毒性のすさまじさ。

と挙げ、“子どもたちの人格発達に致命的な影響を及ぼす可能性が”あるとまで述べています。

正直、この本を読むまでは、

「多少の競争主義を取り入れることは、教育現場に必要不可欠だし、これを排除してクラス経営するなんて無理!」

と考えていました。

賛否あるかと思いますが、この本を通読して、この考えは一転しました。


“学校にも倒産があれば、もうちょっとましなサービスを提供してくれる”

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第1章で、教職を生業にしている一人として実にグサリとくる部分がこれでした。

今の学校は、どうも、国家・社会の需要も、親の需要も、子どもの需要も満たしていないように思えてなりません。

需要を無視したサービスばかり提供していたのでは、民間企業ならたちまち倒産です。

ここでいう、

  1. 国家・社会の需要
  2. 親の需要
  3. 子どもの需要

を少し触れておきます。

1.国家・社会の需要

民主主義を維持すること。

2.親の需要

子どもたちをあずかってくれること。

3.子どもの需要

将来社会人として自立できるように準備を整える手伝いをしてくれること。

つまり、学校は国家・社会が求めるような民主的な子どもを教育できていないじゃないかと。親が安心して子どもをあずけておけないじゃないかと。そして、子どもたちが自立できるような手伝いなんてしてくれてないじゃないかと。

さらには…

学校を工場にたとえさせてください。そうすると、子どもたちはその製品です。学校という工場の製品である子どもたちの不良品率は驚くべき高さです。(中略)原材料が悪い、すなわち、家庭育児が悪い、という意見もありますが、どうもそれだけではないように思います。入学時と卒業時の不良品率を比較すると、卒業時の方が圧倒的に不良品が増えているのだから、どうも工場の行程の方に大問題がありそうです。

反論したい部分ももちろんあるのが正直な所ですが、残念ながら「その通りだ」と思わさざるを得ない状態でした。(詳しくは本書をお読みください。きっとグサリときます。)

改善のためには、システムを見直す

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この『競争原理』に毒された(本書を読むと、まさに“毒された”という意味を痛感することができます。)教育現場を改善しようとするためには、その教育のシステムを見直すことが重要だと指摘しています。

ここでは、学校が子どもたちに供給すべき4つのサービス(目標)を提示しています。

1:尊 敬

2:責 任

3:社会性

4:生活力

詳しくは是非、本書を読んでいただくとして、

ざっくりとこれらの4つを押さえておきます。

1.尊敬

 子どもたちに尊敬することを学んでもらうなら、教師がすべての子どもを尊敬すること。一人の人間として尊重すること。それは、問題を抱えた子や困っている子に対しても同様に。

2.責任

 自分の課題を自分で解決する機会を奪わないこと。自分でなんとかできるように、もしくはいっさい援助しないで不便をしてもらうこと。

3.社会性

 他者と協力して生きる姿勢を学ぶこと。競争して勝ち負けを争うのではなく、仲間として助け合うこと。

4.生活力

 読み書きや算数等の知識と、生活に繋がる知識の総合した力。後者の方がより生きるためには重要。相手を傷つけないで自分の要求を主張する技術。

これらの4つの目標を身につけてもらうために、競争主義を捨て、新たなシステムのもとクラスをマネジメントすることが必要だと述べています。
現在の教育現場の多くは、競争原理を多く取り入れすぎていて、この4つの目標が達成できていない、もしくはお題目になりがちだと指摘しています。相手より優位に立ちたいからがんばる、相手に負けたくない、自分が貶められたくないから従う、叱られたくないから守る。このような状況は是非ともさけなければなりません。耳が痛い話ですが。

変革の具体的な方法とは…

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では、どのようにして学級をマネジメントしていくのか。

それが、『協力原理』によるクラスルーム・マネジメントであると本書は提案しています。わたしも途中までは半信半疑でしたが、最終的に読み終わると、なるほどそうかも知れないと納得する部分が大変大きかったです。この本が89年に初版が出版されたことを考えると、四半世紀も前にこの提唱がなされていたことに驚きなのと、それまでの間にあまり大きな変化がなかったという現実への焦燥感が同時にあります。

わたしたちが提唱する新しいクラスルーム・マネジメントのシステムは、一言で言えば、クラスの中で子どもたちが精神的に健康に暮らせるように、ということを最大の眼目にして設計されています。

精神的に健康に暮らすことができる子どもたちで構成されたクラスを『健康なクラス』と呼ぶなら、下記にあげたような点で不健康なクラス(問題が起きやすいクラス)と区別することができます。

協力原理によってマネジメントされており、協力する姿勢が見られ、困った人を全員が援助する。

横の関係でつながり、教師と子どもは対等。子ども同士にも序列はなく、全員で問題解決に当たる。

相互に尊敬し、信頼する。教師は子どもを尊敬し、子どもから学ぼうとする姿勢をもつ。

勇気づけによる教育がなされ、失敗しても意欲を認め勇気づけたり、長所を探して認めたりする。

各自が自分の行為に責任をもち、クラスの問題はその構造に原因があると考える。

教師はコーディネーターとしての立ち位置となり、いつでも理性的に考え、子どもの勇気と意欲を呼び起こす。

ちなみに、不健康なクラスでの対比を反面教師として載せておきます。いつでも自分自身を振り返り、下記の点であてはまることがないようにしたいです。

競争原理によってマネジメントされており、相手に勝つことを目標にしたり、優劣をつけたり、困った人を切り捨てたりする。


縦の関係でつながり、教師が上で子どもが下、子ども同士にも優劣の差があり、物事は教師が決める。


相互に信じ合うことがない


教師は子どもを条件つきでのみ信じる。


賞罰による教育がなされ、教師の基準により褒めたり叱ったりする。成功したときのみ褒め、短所を指摘する。


子どもの責任を教師がひきうけ、クラスの問題の原因を他に転嫁する。


権威的な独裁者としての教師で、子どもを恐怖心で支配する。感情的に叱る。

つまり、クラスで「困った子」「問題行動を起こしがちな子」を目の当たりにしたとき、その子個人を指導するのではなく、問題の原因をクラスの構造に求めることが大切だと言うことが述べられています。

次回は、子どもが起こす典型的な問題行動の裏にある5つの心理について復習したいと思います。

詳しくはこちらを

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