保護者からのクレームを未然に防ぐ初期対応の心得

学校に子どもを通わせている保護者の様相が多様化して、様々な価値観を持つ『対大人』の関係に悪戦苦闘されている先生方も少なくないと思います。

先日、勤務校で保護者との関わりについての研修を受けて、とても参考になる心得を伺うことができました。

自分に対する防忘録として、また、少しでも他の先生方の参考になればと思い、保護者対応の際に心に留めたい初期対応の心得についてまとめたいとおもいます。

初期対応を万全に

何よりも大切なのは、初期対応です。

いつでも起こりそうな、ある事例を紹介します。

休み時間に、いつも落ち着きがなく、トラブルを起こしがちなA君と、比較的真面目で元気なBくんがサッカーをして遊んでいました。

ささいなことが原因で、A君とB君がケンカをし、カッとなったAくんがBくんの「すね」を蹴りました。

ここまでは、学校でよくある子ども同士のケンカの一場面です。

担任の教師は、休み時間が終わって戻ってきた二人に対し、お互いの話を聞き、状況整理をし、A君に謝罪をさせ、B君に絆創膏を渡しました。

ところが、翌日…

Bくんは、前日に蹴られた「すね」をしきりに痛がっています。
様子を見ると腫れているようでした。
そこで初めて、この教師はBくんを保健室に行かせ、養護教諭に看てもらいます。

様子が気になった養護教諭は、大事を取って病院へBくんを連れて行くと、「すね」の骨にひびが入っていました。

その後、B君の保護者は、この担任の教師の対応について不満を抱き、学校に連絡が入ります。

今回のように、「このくらいは大したことはないだろう」という勝手な判断で、教師が事態を過小評価してしまうことで問題が生じることがあります。

どの場面でも、『最悪の状況を想定して』対応することが大切です。

まず、この教師は、ケンカをしてケガをして戻ってきたBくんに対して、保健室に行くように指導することなく、絆創膏を渡して済ませてしまいました。

教師は教育のスペシャリストではあっても、病気やケガの専門家ではないのです。

些細なケガや体調不良であっても、万一のことを考えて、まずは保健室に行くように指導することが大切です。

最近は、養護教諭の先生方も多忙で、「こんな小さなケガで子どもを保健室に行かせてはご迷惑になるのでは」と気を遣われる担任の先生方もいます。
しかし、子どもは些細なケガや軽い微熱であっても、後々重大な病気であったりすることも少なくありません。

そして、保護者への対応です。

ケガしたその日の放課後に、双方の保護者に対して電話連絡をし、特にB君の保護者に対してはケガをした経緯と、万一のことを考えて気になるようであれば病院へ行くことを伝えておくべきでした。

もし、連絡をしておけば、事後になって保護者からのクレームを受けることもありません。
本当に軽いケガで何事もない場合でも、連絡を受けて不快に思う保護者はいません。

事前に連絡をすれば『報告』、事後に連絡すれば『いいわけ』になってしまうのです。

複数対応を心がける

保護者を呼んで面談をしたり、クレームに対応したりする時、担任や担当一人で保護者に対応するのは避けた方がよいでしょう。

学年の主任や他クラスの先生、場合によっては管理職の先生と最低二人で対応すべきです。

保護者の中には、教師の話の『正しい99%』の部分には耳を傾けず、1%のほんの些細な言い間違いや不整合点を執拗に指摘してくるような方がいるのも事実です。

一人で対応してしまうことで、いくら誠意をもっていても思わぬ誤解や不信感を抱かれてしまいかねません。

また、これは保護者対応だけではなく、普段の学校生活でも同様のことが言えます。

複数というのは、必ずしも教師や大人だけとは限りません。
時には、子どもたちも教師の味方になってくれます。

再び、ある事例を紹介します。

C君は、カッとなるとパニックを起こしてしまうことのある子で、その日も些細なことが原因で教室中のものを投げたり、他の子どもたちに暴力を振るってしまうなど我を忘れているような状態でした。

教師はクールダウンさせるためにC君を別室に連れて行き何とか話をしようとしますが、教師に対しても、蹴る、暴れる、暴言を吐くなどといったパニック状態でした。

教師はやむを得ず、C君の肩を両手で押さえ、C君の足を膝で押さえて彼を制止しました。

その後、C君の保護者が学校に電話をかけてきます。

C君の保護者によれば、
「うちの子は何もしていないのに、担任の先生に肩や足を強く押さえられ、痛い思いをさせられた。」
「これは、体罰ではないのか。」
とのクレーム。

この事案は、教育委員会にもC君の保護者が連絡をしたため大きく取り上げられ、実際にC君に対して手や膝で制止したしたという一部の状況だけが理由で、この教師は保護者に対して謝罪をし、戒告処分を受けました。

誰もいない場所で、当事者しか分からないような状況を作ってしまうと、保護者によっては子どもの言い分を真に受けてクレームになってしまうこともあります。
このような事態を未然に防ぐためにも、誰かの目がある状況で指導をしたり、指導の後には、どのような状況であったかを見ていた人(子どもも含む)と話をしておく、などの対応をしておく必要があります。

ただ、気をつけなければならないのは、あからさまに教室の真ん中で特定の子どもを叱りつけたり、見せしめのようになったりしてはいけません。
指導をする子どもの人権にも十分に配慮した中で対応することが大切です。

報連相から相連報へ

一番大切なのは、保護者や管理職への早めの連絡や相談、報告です。
よく言われる『報(報告)連(連絡)相(相談)』です。

何か気にかかることがあれば、すぐに相談し、連絡をすることで、多くのクレームを未然に防ぐことができます。

そのために、身近な先生方や管理職との関係を密にし、その日あったことなどを気軽な気持ちで話したり、相談したりできる環境であることが大切です。

「今日、実はこんなことがあったんですよ。」
「最近、クラスの状況はどう?」

など、常にコミュニケーションを取ることで、些細な変化や小さな事故に複数の目で対応し、早めに解決するきっかけを作ることができます。

まずは、近くの先生方と『相談』できる。そして、その中で気になることは保護者や管理職に『連絡』する。その後、解決するにあたっての経過や結果を『報告』する。

『報連相』から『相連報』へシフトできるとよいですね。

些細なことも記録を取る

保護者との対応をしたり、教師間での話し合いを持つ時、客観的な資料があると、より具体的な話ができたり、話に信憑性を持たせたりすることができます。

いつ、どのように、誰が関わっていて、どのような対応をしたのか。
簡単でいいので、些細なこともノートなどに記録を取っておくことが大切です。

特に、子ども同士のケンカや対教師暴力など、他人に危害を加えるような場面については、ケガの有無を問わず記録を取っておくと良いでしょう。

記録が取りやすい、マージン罫入りノートを使うと便利です。

外部の機関との連携を

教師は、教育の専門家であって、医療や家庭、地域に関する多くの分野については専門外であるという意識を持つことは大切です。

もちろん、幅広く知識を持つことは大切ですが、専門外の分野についてはその専門の機関に任せることが一番よいのです。

ケガや病気のことはお医者さんに、心のケアは心理療法やカウンセラーなどの専門家に、家庭内のトラブルやDV、養育放棄などの問題は民生員や教育委員会に、校外の事故や事件は警察に、など、幅広く連携のパイプを持つことが必要です。

もちろん、外部の機関と協力し、連携を測る際には、校内の管理職と相談の上行う必要があります。

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